「表面利回り20%」という広告を見て、思わず飛びついてしまいそうになったことはありませんか。 実は、不動産投資の利回りには「表面利回り」と「実質利回り」という2つの数字があり、 この違いを理解しないまま物件を判断すると、想定していたキャッシュフローが得られず後悔することになります。
この記事では、築古戸建て投資における利回りの計算方法を、表面利回りと実質利回りの違い、 経費の内訳、資金回収期間の計算式まで、実例をもとに数式で解説します。 格安中古物件投資そのものの基本を先に押さえたい方は、 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 もあわせてご覧ください。
目次
表面利回りの計算式とその限界
不動産投資の広告などでよく目にする「表面利回り」は、年間の家賃収入を総投資額で割っただけの シンプルな数字です。計算式は次の通りです。
表面利回り(%)= 年間家賃収入 ÷ 総投資額 × 100
一般に、都心の新築マンション投資の表面利回りは3〜5%程度とされています。 これに対して格安中古物件投資では、表面利回り15〜25%になる例も珍しくありません。 分母である総投資額そのものが小さいため、利回りの数字が大きくなりやすいのです。
入門記事で紹介したモデルケースを振り返ってみましょう。 物件価格150万円にリフォーム費用100万円をかけた場合、総投資額は250万円。 月々38,000円の家賃収入が得られたとすると、年間家賃収入は45.6万円になり、 表面利回りは「45.6万円 ÷ 250万円 × 100 = 18.24%」という計算になります。
※表面利回りには、不動産を所有する上で必ずかかってくる経費(固定資産税や火災保険料、 修繕費など)が一切含まれていません。この点が、表面利回りの最大の限界です。
実質利回りとは?経費を差し引いて計算する
プロの投資家は、表面利回りだけでなく、必ず経費を差し引いた「実質利回り」、 そして最終的に手元にいくら現金が残るかという「キャッシュフロー」を重視します。 実質利回りの計算式は次の通りです。
実質利回り(%)=(年間家賃収入 - 年間経費)÷ 総投資額 × 100
ここで言う「年間経費」には、主に次のようなものが含まれます。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料・地震保険料
- 突発的な修繕費(給湯器の故障など)
- 原状回復費用・空室損失(退去後、次の入居者が決まるまでの家賃ゼロ期間)
これらの経費は、物件によって差はあるものの、年間家賃収入のおよそ15〜20%程度を 見積もっておくと、より現実的なシミュレーションができます。
モデルケースで見る「表面→実質」利回りの差
先ほどのモデルケース(総投資額250万円、年間家賃収入45.6万円)を使って、 実際に実質利回りまで計算してみましょう。経費を家賃収入の20%と、やや多めに見積もります。
- 年間経費:45.6万円 × 20% = 9.12万円
- 年間キャッシュフロー:45.6万円 - 9.12万円 = 36.48万円
- 実質利回り:36.48万円 ÷ 250万円 × 100 = 約14.6%
図解:表面利回りと実質利回りの差(モデルケース)
経費を差し引くだけで、利回りの数字は3.6ポイントほど下がりました。 表面利回りの数字だけを見て投資判断をすると、実際のキャッシュフローとのギャップに 後から驚くことになりかねません。必ず実質利回りまで計算する習慣をつけましょう。
実例で見る利回りのギャップ
弊社が過去に扱った物件でも、表面利回りと実質利回りには一定の差が生じています。 埼玉県東松山市の物件と、茨城県古河市・千葉県館山市の物件の実績を比較してみましょう。
| 投資指標 | 東松山市の物件 | 古河市・館山市の物件 |
|---|---|---|
| 総投資額 | 350万円 | 289万円+246万円 |
| 表面利回り | 19.54% | 26.4% |
| 実質利回り | 17.06% | 16.2% |
| 投資回収期間 | 約5.9年 | 約6.2年 |
表面利回りだけを見ると古河市・館山市の物件の方が高く見えますが、実質利回りで比較すると その差は1ポイント程度に縮まります。総投資額に占めるリフォーム費用の割合によって、 表面利回りと実質利回りの差の出方は変わってきます。 それぞれの物件のリフォーム費用の内訳については、 ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解か で詳しく解説しています。
資金回収期間という指標もあわせて確認する
利回りとあわせて確認しておきたいのが「投資回収期間」です。総投資額を年間キャッシュフローで 割ることで、何年で投資した元本を回収できるかがわかります。
投資回収期間(年)= 総投資額 ÷ 年間キャッシュフロー
資金回収期間の計算イメージ(モデルケース)
このモデルケースでは、経費を多めに見積もっても、6年から7年ほどで投資額の全額を 回収できる計算になります。都心の新築マンション投資などと比べて、総投資額そのものが 小さいことが、短期間での資金回収を可能にしている大きな理由です。
この「何年で回収できるか」という視点は、そのまま出口戦略にもつながります。 投資した元本を家賃収入で回収し終えたタイミングをどう捉えるかについては、 築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準 で詳しく解説しています。
一戸建て投資として「理想的な利回り」の目安
では、戸建て投資においてどの程度の利回りがあれば「理想的」といえるのでしょうか。 一般に紹介されている目安と、ボロリッチが紹介する物件の実績を比較してみます。
| 物件タイプ | 表面利回りの目安 |
|---|---|
| 新築一戸建て | 10%程度 |
| 中古一戸建て | 15%程度 |
| ボロリッチの格安中古物件投資 | 15〜20%(20%超の実績もあり) |
※一般的な利回りの目安は不動産投資メディアの記事を参照した数値であり、ボロリッチの実績は 弊社の物件紹介実績にもとづくものです。将来の利回りや収益を保証するものではありません。
一般的な中古一戸建ての目安である15%と比べても、格安中古物件投資は同水準以上の 利回りを狙える可能性がある、という点が特徴です。ただし、これはあくまで「表面利回り」の 話であり、この記事で見てきた通り、実質利回りやキャッシュフローまで確認した上で 判断することが欠かせません。
利回りだけで判断しないための注意点
表面利回りが高い物件ほど魅力的に見えますが、利回りの数字だけで購入を決めるのは危険です。 特に築古戸建てでは、次のような点もあわせて確認する必要があります。
- 物件の立地や条件によって、目標とすべき利回りの水準は変わります。 エリア別の利回り基準の考え方は、 ボロ戸建ての探し方|格安中古物件はどこで見つかる? で紹介しています。
- 短い内見だけでは見抜けない「隠れた欠陥」が見つかると、想定していたリフォーム費用を 超える出費が発生し、利回りの計算そのものが崩れてしまいます。 契約前に確認すべきチェックポイントは、 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイント にまとめています。
- 利回り計算を誤って後悔した具体的な失敗パターンは、 ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 で紹介していますので、あわせてご覧ください。
悪いケースの修繕費を上乗せしても、なお目標とする利回りを確保できるか—— この視点で総投資額と想定家賃のバランスを見極めることが、利回り計算を「机上の空論」に 終わらせないための基本になります。
まとめ
築古戸建て投資の利回り計算では、表面利回りだけでなく、経費を差し引いた実質利回りと 資金回収期間まで確認することが欠かせません。表面利回りは「年間家賃収入 ÷ 総投資額 × 100」、 実質利回りは「(年間家賃収入-年間経費)÷ 総投資額 × 100」という2つの計算式を 使い分けられるようになれば、物件を見る目は大きく変わります。
格安中古物件投資の基本や利回りの考え方については 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門で、 リフォーム費用と利回りの関係については ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解か で、少額の自己資金・現金購入という切り口から利回りを考えたい方は 少額×現金で始める戸建て投資|属性に左右されない理由 で、回収期間を踏まえた売るか持ち続けるかの出口戦略については 築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準 でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。