図解:総投資額は「物件価格」だけでは決まらない
「物件が安く買えたのだから、リフォームも思い切ってきれいにしよう」—— ボロ戸建て投資を始めたばかりの方ほど、そう考えがちです。
しかし、リフォーム費用は物件価格と合わせて「総投資額」を形づくる、利回り計算の重要な要素です。 どこまで直すかを間違えると、せっかく安く仕入れた物件でも、利回りが大きく目減りしてしまいます。
この記事では、リフォーム費用を「どこまでかけるか」という視点から、 総投資額と利回りの関係、実例にもとづく費用感、優先順位の考え方を解説します。 格安中古物件投資そのものの基本を先に押さえたい方は、 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 もあわせてご覧ください。
目次
リフォーム費用は「物件価格」と切り離して考えない
不動産投資の利回りは、「年間家賃収入 ÷ 総投資額 × 100」で計算されます。 ここで注意したいのは、分母である総投資額は物件価格だけではないということです。
総投資額は、物件価格+仲介手数料+リフォーム費用+登記費用の合計で決まります。 特にボロ戸建てのような築古物件では、リフォーム費用が総投資額の中でも大きな割合を 占めることが珍しくありません。
例えば、物件価格150万円にリフォーム費用100万円をかけた場合、総投資額は250万円になります。 この物件で月々38,000円の家賃収入が得られたとすると、表面利回りは「45.6万円 ÷ 250万円 × 100 = 18.24%」 という計算になります。この基本の計算式や、経費を差し引いた実質利回りとの違いについては、 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違い で詳しく解説しています。
つまり「どこまでリフォームするか」という判断は、そのままリフォーム費用の総額に直結し、 利回りの数字を大きく左右する、極めて重要な意思決定なのです。
実例で見る、リフォーム費用と利回りの関係
では、実際にリフォーム費用をかけた物件は、どれくらいの利回りになるのでしょうか。 弊社が過去に扱った物件の実例を見てみましょう。
まず、埼玉県東松山市の一戸建ての例です。ライフライン整備を含め、しっかりとリフォームを 行ったケースです。
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格(土地・建物込み) | 1,000,000円 |
| 仲介手数料 | 330,000円 |
| リフォーム費用 | 2,000,000円 |
| 登記費用 | 170,000円 |
| 合計投資額 | 3,500,000円 |
このケースでは、リフォーム費用が総投資額の半分以上を占めています。 想定家賃収入は月57,000円(年684,000円)で、固定資産税・火災保険費を差し引いた 年間純収入は597,057円。表面利回り19.54%、実質利回り17.06%、投資回収期間は約5.9年でした。
一方、茨城県古河市と千葉県館山市の物件は、リフォーム費用を抑えたケースです。
| 費用項目 | 古河市の物件 | 館山市の物件 |
|---|---|---|
| 物件価格 | 2,000,000円 | 1,800,000円 |
| 仲介手数料 | 330,000円 | 0円 |
| リフォーム費用 | 400,000円 | 500,000円 |
| 登記費用 | 160,000円 | 160,000円 |
| 合計投資額 | 2,890,000円 | 2,460,000円 |
この2物件では、想定家賃収入が月44,000円(年528,000円)、固定資産税・火災保険費を 差し引いた年間純収入は468,000円。表面利回り26.4%、実質利回り16.2%、投資回収期間は 約6.2年という実績が公開されています。
図解:リフォーム費用の違いと表面利回りの比較
数字だけを見ると「リフォーム費用は抑えた方が利回りが高い」ように見えますが、 単純にそう言い切れるわけではありません。東松山市の物件は、しっかりとリフォームを 行った分だけ月々の想定家賃も高く設定できており、投資回収期間も約5.9年と 決して見劣りしません。
大切なのは「リフォーム費用を最小化すること」ではなく、 かけた費用に見合う家賃が取れるかどうかという視点で、 物件ごとに総投資額と想定家賃のバランスを見極めることです。
「どこまで直すか」——優先順位の考え方
ボロ戸建てのリフォームは、新築のように隅々まで新品にする必要はありません。 目的はあくまで「入居可能な状態にすること」であり、費用対効果を意識した優先順位づけが重要です。
費用対効果を重視したリフォームの優先順位
弊社の投資ノウハウでは、費用対効果を重視したリフォームの優先度が高い項目として、 次の3つが挙げられています。
- 第1位:トイレの洋式化
- 第2位:和室から洋室への変更
- 第3位:給湯設備の改善(バランス釜=浴室内に組み込まれた旧式の風呂釜から、給湯式への切り替え)
それ以外の項目については優先度が低いものと位置づけられており、 具体的な費用相場は物件の状態や依頼する業者によって異なるため、 個々の見積もりで確認する必要があります。
※各リフォーム項目にかかる具体的な費用の相場については、参考資料に詳細な記載がないため、 本記事では言及していません。実際にリフォームを検討する際は、複数の業者から見積もりを取り、 物件ごとに判断することをおすすめします。
優先度の高い項目に共通するのは、いずれも入居者の日々の生活に直結する設備であるという点です。 逆に言えば、内装の見た目を全体的に新しくするような「やりすぎリフォーム」は、 費用がかさむわりに家賃への反映が小さく、総投資額を押し上げて利回りを下げる要因になりかねません。
見落とすと危険な「隠れた欠陥」という追加コスト
リフォーム費用を見積もる際、もう一つ注意したいのが「隠れた欠陥」の存在です。 契約前の短い内見だけでは、雨漏りやシロアリ被害、柱の腐食といった欠陥を 完全に見抜くことはできません。
こうした欠陥が購入後に発覚すると、当初想定していたリフォーム予算を超える、 想定外の出費が発生してしまいます。判断材料として有効なのが「空き家期間」です。
- 空き家期間が1年未満:電気・水道・ガスなどのライフラインがそのまま使える可能性が高く、リフォーム費用も比較的読みやすい
- 空き家期間が5年を超える:水道管の劣化や給湯器の故障などを想定し、リフォーム予算をあらかじめ多めに見積もっておく
空き家期間による見立ての詳しい考え方は、 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイント でも解説しています。悪いケースの修繕費を上乗せしても目標利回りを確保できるか、 という視点で購入を判断するのが基本です。
実際にこうしたリスクを見誤って損をしてしまった具体的なエピソードは、 ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 で紹介していますので、あわせてご覧ください。
リフォーム費用を甘く見た結果、起きること
リフォーム費用は、物件価格に比べて見落とされがちですが、総投資額の中でも 特に変動しやすい項目です。「安く買えたから」と油断してリフォームに 予算をかけすぎてしまうと、利回りの数字は簡単に目減りしてしまいます。
逆に、リフォームを削りすぎて設備の状態が悪いまま貸し出してしまうと、 入居者が決まりにくくなり、長期空室というより大きな損失につながることもあります。 空室を防ぐための客付けの工夫については、 築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まる で詳しく解説しています。
物件の探し方や、業者から良い物件を紹介してもらうためのコツについては、 ボロ戸建ての探し方|格安中古物件はどこで見つかる? でも解説していますので、あわせてご覧ください。 また、現金で少額から購入する場合の資金の目安については、 少額×現金で始める戸建て投資|属性に左右されない理由 で解説しています。リフォームの状態は、将来「売るか持ち続けるか」を判断する材料にもなります。 出口戦略の考え方は、 築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準 をご覧ください。
まとめ
ボロ戸建てのリフォームでは、「どこまで直すか」を総投資額と利回りのバランスで判断することが 何より重要です。トイレや給湯設備など、入居者の生活に直結する項目を優先しつつ、 過剰なリフォームは避ける。そして、隠れた欠陥という想定外のコストを、 あらかじめ「想定内」に織り込んでおく。この考え方が、リフォーム費用で失敗しないための基本になります。
格安中古物件投資の基本や利回りの考え方については 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門で、 表面利回りと実質利回りの計算方法については 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違いで、 契約前に確認すべきポイントについては 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイントで、 少額の自己資金・現金購入から始めたい方は 少額×現金で始める戸建て投資|属性に左右されない理由で、 入居者を見つける客付けのコツについては 築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まるで、 売るか持ち続けるかの出口戦略については 築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準 でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。